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撮影 Rule.003 構図3「テレビのレターボックスはデザインではない!」 
私事ではありますが、長年、写真の講師もしています。
なかなか伝わりませんが、
「シャッターを切る前にタイトルを決めなさい」
と言い続けています。

さらに
「タイトルが決まらないならシャッターを切るな」
と言って、思いっきり「引かれ」続けています。
 
写真の世界では「トリミングするから」という文言を目に耳にします。
もちろん、トリミング前提で構図(資料)を作ることもあります。
南アルプス トリミング前提
中央アルプスの千畳敷から南アルプスを望む写真です。
左は
「夕暮れの駒ケ根の街の後ろにそびえる白峰三山と右奥に富士山遠望」
というタイトル(説明文もタイトル)として完結するもの。

右は山名の文字入れのために、レンズの関係で山を中央にして撮った
「南アルプスの山名を表示する資料の文字入れ用」
というタイトル。
これは、中央部分をトリミングして横長の表示にすることを意味します。

すなわち、写真の最終段階での完成形のタイトルです。
 
「トリミングする」=「タイトルが変わる」わけです。
ここも勘違いする場合が多いので、念押しします。

どのように使われる、どういうアスペクト比で、どういう色合いで、どういう明るさで・・・最終的にどのような形になるかが想定できなければ構図もへったくれもないということです。

最終形が見えなければシャッターは切れません。
 
例えば、今の季節「イチゴ」でしょう!
というポスターに使う写真。

全体的に赤いイメージで作るのか、
真っ白の中に真っ赤なイチゴを目立たせるのか、
イチゴミルク色が基調なのか、
たくさんのイチゴなのか、
ドカンとでっかいイチゴをイメージしてるのか・・・

そんなことさえわからずに、ただ「いい感じでイチゴの写真」を撮れって言われたら、それほど苦しい撮影はないでしょう。
 
私は
「写真の失敗は無い!」
と豪語(と言われています)しています。

1.明るさ・・・段階露光するからミスは無い
2.色温度・・・RAWで撮ればミスは無い
3.構 図・・・私が撮ればミスは無い

実は、豪語でも何でもなく、当然の当たり前の結果です。
「失敗する可能性」があるとすれば、36枚撮りのポジで5カットしか撮れない頃に比べて「シャッターを切るのに金がかからない」こと。
この真剣さが薄らいだ、甘~い考えが唯一失敗の要因かもしれません。

1と2は理論上、誰が撮ってもミスはありません。

しかし、3は?

実は、ここで、ケツ※が見えてることが最重要ポイントになります。
最終形の媒体の大きさ(大きさによって撮り方が変わります。この件は次回)、どういう部分(形、色、明るさ、雰囲気まで含めて)に使うか、どこに文字が入るか・・・
細かい部分まで含めた最終形が見えていれば、まさしく
「構図のミスは無い」
 
前2回の構図の話には「どのようなアスペクト比でも」というキーワードが隠れています。

四角形であれば「構図は縦横比に左右されない」。
すなわち、富士山を撮るのに正方形か4:3か16:9かシネスコなのかは関係なく正しい構図が作れます。

ある意味、テレビは16:9と決まっているので構図を決めやすい。
最終形の縦横比に合わせて、
「完璧な構図を作れる」
はずです。
 
藤堂高虎
藤堂高虎が築城を始めた今治城(吹揚城=ふきあげじょう)
「今週末は愛媛でロケ!」と頼まれ、否もなくひとっ走りしてきました。
ちょっと遠いので、観光気分で訪れたひとつが今治城。

ツアー気分でも、悩むのは高虎像と天守の高さ関係と二者の間隔。
本気で撮るなら、イントレ組むかどうするか?
今は猫も杓子もドローンだからイントレは死語か・・・

などと様々なことが一瞬のうちに頭の中をブン回ります。

ところが!
 
今治城と高虎にlogo
天守には時刻と天気予報が乗っちゃって、高虎にはロゴがかぶさって・・・
訳わかんない巨大なテロップ(字幕=文字=スーパー)が入って・・・

もはや「構図」なんて、今時のテレビにはそぐわないのか?
 
さて、今回のテーマ、レターボックス型黒い帯の話です。
最近のコマーシャルやホームページなどでも良く見ます。
    ※下の画は動画から抜き出し、黒い帯を入れたもの。
ボックストリム ボックス
16:9で撮ってきたものを、何の因果か、シネマスコープにトリミング。
画面上下の黒(レターボックス)は何の意味?

「16:9で撮ったんですがぁ、なんとなくぅ映画調にしてみましたぁ」
下手な画でも横長でプロっぽいでしょ、アピールなのか?
 
少しディレクター的な話ですが、ここで一番大きな問題は、
「構図的に最終形が想定されているか」
という以前の問題で、

「16:9画面に、黒い帯を入れる理由を説明できない」

作った本人は「映画っぽくてカッコいい」と思ってるかもしれません。
しかし、使える面積を効率的最大限活用するのが宣伝の原点。
黒い帯※からは何も伝わりません。
クライアントに申し開きの余地がありません。

テレビなら16:9で最高の映像を見せるのがプロとして最低限の義務です。
伝える媒体である画面に自分からシャッターを下ろす意味がわかりません。
 
ビデオの場合は、
カットの長さ、BGM、ナレーション、テロップ・・・
さまざまなものが決まっていないと撮れません。

それでもスケジュール的に撮らざるを得ないこともあるでしょう。
その場合は、常識的な場所にテロップが入る構図、入らない構図と2つのカットを撮って対処します。

「右と左と両方パン、ズームもインとアウト両方撮ってください」
などと寝言をほざくおっしゃる新米ディレクターがいたりすると、
「殴ったろか!」
と思ったりもしますが、にこやかに両方撮って差し上げます。
もちろん、カメラワークも速度を変えたり・・・いろいろ必要です。

もはや、テープ代さえ不要な時代なんだから、決められない自称ディレクターさんには、カットをたくさん撮ってあげましょう。
もしかすると、次回から「ちゃんと本書いてから撮ろう」と思ってくれるかもしれません。
 
次回:「画面の大きさと構図」
※ケツ:業界用語で終わりや最後の意味。例えば、撮影の終了時間だったり、ノンリニア編集で「クリップのケツ」と言えば終了点を意味します。反対の先頭は「あたま」と言います。

※黒い帯:シネスコ映画を16:9テレビで放映するとき、上下に黒い帯を入れるのとは意味合いが全く違うことは、ご理解いただけると思いますので、ここでくどくは書きません。
そもそも、映画をテレビで見ることは制作側の想定外なので、個人的には映画は映画館で観たいと思いますが・・・

※写真に関して追記
もちろん、写真はアスペクトも何も決まりが無い、
「最終形が見えないから、とりあえず撮ってきたもので考える。」
初心者のうちは、それも一つの方法でしょう。
しかし、それを打破するために「ケツを想定してから撮る」訓練を繰り返さないと、いつまでも最終形の想定ができないわけで、それはとりもなおさず、まぐれ当たりの構図しか撮れないことになってしまいます。
ケツを決めること=タイトルを決めること。
それでも、最終的にはデザイナーがトリミングするのだから、ルーズに撮っておけばイイという自称カメラマンが増えるのも「時代だから」と片付けるのが今風!ということでいいんですよね?
 
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