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CHa-Ki 的思考回路 |
2002年9月13日:垂直と水平を見分ける目 |
その昔、楽器というものは、いかに「人間の声に近づけるか、を目標に作られた」そうです。 その最も近いものはヴァイオリン。だったかな・・・ 実は、映像の世界も、TV・映画・写真・絵画を問わず、人間の「見た目」を中心に考えられています。 カメラは人間の目の代役を務める必要があります。 小さな町工場(まちこうば)がものすごい物、例えば、真球を作る場合、最後にチェックするのは「人の手」ということもあります。 機械的に真球を求めることはとても難しいようで結局、熟練したジッちゃんが作ってたりする。 人間の目はオートフォーカス&オートホワイトバランスの機能があるので、支障なく日常生活を送れます。 カメラもこれに追随して人間の目に近いオート機能を充実してきました。 しかし、どれほど科学が進歩しても(言いすぎかな?)、傾きに関するものは、どうも感性が支配するようです。 |
先日、ディスカバリーチャンネル(消防士は大変だ、みたいな内容のもの)を見ていたんですが、カメラ番(タコなカメラマン風のカメラオペレータをこう呼びます)が、誰に教えてもらったのか、番組中ほとんど45度カメラを傾けて撮影していました。 気になってしまい、番組の内容ではなく、このタコな傾きが何時なくなるかに注目していましたが最後の最後までタコでした。 |
アマチュアが陥りやすいところとして、毎日朝昼晩3食ステーキを食べさせるというのがあります。 たまに食べるから美味しいものでしょう? 「朝は味噌汁、納豆と卵、シャケかアジの焼き物でもあれば最高!」 と言いたくなるでしょう? 美味しいものはたまに(給料日・誕生日など)、特別な日に食べるから美味しいんですよね。 多分。 サルのマスターベーションよろしく死ぬまでやるか? というのが私の考え方。 やっぱり美味しい(高い)ものは満を持して出されるとその価値も味覚も倍増するものです。 逆に言うと、 「もういいよ!」 というウンザリ感を与えてしまうと、もう取り返しがつかない状況になります。 自分の独りよがり・快楽で公共の電波に乗せるんじゃねぇ! というのが放送の原点だと思います。 |
さて、本題です。 人間の目は何度までの傾斜を感じ取れるでしょう? 実は、かなり精密な傾斜計で実測したことがあります。 私は0.3度までハッキリ感じました。 0.1〜0.2度くらいまでいくと、あやふやになります。 多分、熟練した例えばビルの建築などに従事している方々は0.1度でも感じ取るかも知れません。 「な〜んか、変だな〜〜」 という映像では結構この10分の1度の感覚が生きていることも多いようです。 映像には全く関係しない方々(視聴者)でも人間に原在する感性として感じとってしまう方も多いようです。 傾斜以外にも原因は無限にありますが、まず、これを疑ってみることも大切な要素。 |
ビデオに入り込んだ当初、毎年のように数千点の写真・絵画・書などの撮影をしていた時分がありましたが、こういうものは特に傾斜が気になります。 基本的には三脚の水準器ですが、アマノジャクなんでしょうね。 最後は自分の感覚で水平を取り直していました(古ーい木製三脚だったので、信用してませんでした)。 テレビに映した後はそのテレビの性格がありますから「それはそれでOK」、結局、VF(ビューファインダー)に映し出される映像が全て、と割り切っていました。 不思議なことに、水準器より感覚のほうが上回ることが多かったような気がします。 水準器が世界標準になるくらい正確なら話は別ですが・・・ 何事も全て自分の目が最終決断と思っていましたので、水平はかなり苦労した覚えがあります。 ちなみに、決して三脚の水準器を誹謗中傷するものではありませんので、そのへんはご理解の程。 |
ここは、 1.意図的に傾けるときは、意図を明確に。そして、番組の中で何度も使わない。 2.気持ちの悪い微妙な傾斜は避けよう。 ということです。 基本的には10度未満の傾きはミスショットです。 意図をもって傾けるときは、20度以上傾けてというのが原則。 じゃ10〜20度はどうすんの? という意見もありそうですが、そんな方は、もう一度じっくり読んで自分で決めてくださりませ。 それでもだめなら分度器で壁に傾斜1度の線を描いてみてください。1度傾いた線を描くことの難しさもわかるでしょう? それをその10分の1の単位で話してるんですから、タコはこっちかも知れませんね。 |