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CHa-Ki 的思考回路
2014年5月20日:美味しんぼは、イタチの最後っ屁か?
のん気に構えていて、「美味しんぼ」最新号を買うことができなかったので書くのをやめようかと思ったのですが、一番読みたかったご意見と編集部の見解が掲載されていたので、書くことにしました。

信頼できる京都大学の小出先生や琉球大学名誉教授の矢ヶ崎先生の話も載っていますので、是非、読んでいただければと思います。

私自身、久しぶりに核のことを改めて調べ直すことができて、とても良かったと思います。
 
美味しんぼの内容に関して、3つの問題点を書きながら、自分でも、もう一度、じっくり考えようと思っています。
1.鼻血問題
人間のDNAを破壊する放射線を考えてみます。
DNAをつなげているエネルギーの100万倍というような放射線で人間のDNAはズタズタにされてしまいます。
再生できないほどにバラバラにされたDNAは新しい細胞を作り出すことができなくなります。

鼻血の話は、広島・長崎から引っ張ってきたことかもしれません。
地元では、放射能で鼻血が出ることが良く知られていて、言いたくても言えないという事情があるのだろうか?

さて、双葉町の小学館に対する抗議文です。
ここに大きな問題があると思います。
  「原因不明の鼻血等の症状を町役場に訴える町民が大勢いるという事実はありません。」
というコメント。
これには問題が2つあります。
  一般論として「鼻血が出たと町役場に訴える」か?
  「大勢いるという事実はない」ということは、少なからずならいるということか?
何故、このようなあやふやな言い回しをするのか?
はっきり、
「双葉町には原因不明の鼻血を出した人は一人もいない」
と断言できないのか?

あくまで私個人の解釈ですが、放射線で鼻血が出るとなると、相当量の放射線を浴びているはずです。
放射線由来で鼻血が出た場合は必ず死を迎えると言う研究者もいます。
願わくは、放射線由来の鼻血を出した人が一人もいないことを祈ります。
 
2.福島は、という言い回し
PDFを作ってみました。
福島県で原発から一番遠い燧ケ岳までの距離で円を描いたものです。
おバカな計算と言われればそれまでですが、単純に距離だけで考えれば、福島に人が住めないということは、
  宮城県、栃木県、茨城県のほぼ9割、山形県の7割、新潟県の3割程度と同義?
とも取れます。
都市で言うと、茨城県水戸・鹿嶋、栃木県宇都宮・小山、新潟県新発田、山形県山形・新庄、宮城県仙台・南三陸で、この中で県庁所在地が入っていないのは、新潟だけです。

何故、このような大雑把な言い方をするのでしょう?

第一近くや非難区域に住むことは、困難を極めると思います。
それを福島(県)と表記することに大きな問題があります。

もちろん、事故直後には、関東、東北の多くの地域が「放射線管理区域」と同等の汚染が広がりました。
栃木県では3年経って除染が終わっていない所もあります。

アメリカスリーマイル島の事故で取り出したデブリ(溶け落ちたウラン)の保管は、ほとんど人が近づかない広大な砂漠に「仮置き」しています。
狭い日本には、除染した土を仮置きする場所も、(万が一取り出せたとしても)デブリの置き場所なんてどこにもありません。

デブリが放射能を出さなくなるまでの70億年もの間、誰が管理するのでしょう?
 
3.朝日新聞によれば、福島大准教授の荒木田さんが、美味しんぼには自分の意見を掲載しないで欲しいと頼んだにもかかわらず、「作品は作者のもの」として、編集部は応じなかった。(朝日新聞5月21日)
荒木田さんは、「美味しんぼ」5月21日号の中で、
  福島がもう取り返しのつかないまでに汚染
  除染作業のたびに具合が悪くなる
  除染をしても(汚染物質が山などから流れ込んできて)汚染は取れない。
  福島はもう住めない、安全には暮らせない
  広域に除染して人が住めるようにするなんてできない
と言っています。
その後、「ご意見・ご批判を真摯に受け止め、引き続き福島の抱える課題に、誠実に取り組みたい」とコメントを出しています。

なかなかわかりにくい話だと思いますが、雑誌編集部では良くあることなのでしょうか?
私も月刊誌の特集を1年間書いているときに、編集部の改ざんにほとほと参ったことがあります。

編集部および、作者の雁屋さんは、もう少し考える必要があったのではないでしょうか?
 
5月20日の各地の放射線量を見てみると、
浪江町では、6.1マイクロシーベルト。
県庁所在地で放射線量が規定値を上回っているところは福島市の0.208(0.046)だけです。
  ※括弧内は事故前最大値、以下同じ
気になるのは、事故前の最大値と20日の観測値を比べると、新潟市では、0.049ですが、事故前の最大値は0.153と規定値を上回っていること。
同様に、長野市0.039(0.097)。静岡市0.027(0.077)、その他の関東甲信越、山形・宮城・岩手の県庁所在地でも事故後のほうが少なくなっています。

極端に少なくなっている都市は、近くに原発のある市と言っても良いと思います。

モニタリングポストの周りだけ徹底的に除染している!という人もいますが、チョット気になるので、備忘録として書いておきます。
 
総理が「原発は大丈夫、完全にコントロールされている」として、オリンピックを招致してしまいましたが、不安しか残らない原発事故。

多くの国民から忘れ去られようとしていたフクシマをもう一度考えるキッカケとして、今回の「美味しんぼ」騒動はそれなりに価値のあるものだったと思います。

久しぶりに原子力・放射能の本を引っ張り出して、やはり、原発は止めないといけないと確信しました。

ミーハーとか感傷的とか言われようが、やはり、止めるべきものは止める。

今日、大飯原発の訴訟の判決がでます。
今日から第一で地下水バイパス放出が始まります。
これ以上、悲惨なことにならないように。
第一で働く人たちに感謝しながら・・・
 
余計な一言
また、引き合いに出して申し訳ないのですが、多くの市町村で地面・50cmの高さ・1mの高さでの放射線測定をしていますが、測定方法が間違っていることは知ってるんですよね?知ってるけど、あえて、やってるんですよね?
正しいかどうかということは目をつぶるとして、表の見方を書いたほうが良いかと。
ストロンチウムが出す空気中で数十センチしか進めないベータ線があるか、ないかは5cmと1mの数値の比較でわかります。
ついでに、追加被ばく線量年間1ミリシーベルトの考え方(環境省)による国の提示する被爆量の計算方法は、完全に「こじつけ」であり、事故が起こったから緩和するのではなく、事故があったから厳しくしなけりゃ法治国家じゃないと思うんですが・・・
 
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