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2014年10月4日:木曾御嶽山は、戦後最悪の火山災害か?・・・ | |||||||||||||||||||||||
「災害」という単語を小学館国語大辞典で引いてみると、 『天災、火災、事故など、思いがけず受けるわざわい。』 とあります。 交通事故と自然災害はあっても、交通災害と自然事故は無いような・・・。 やはり、「災害」は自然界からで、「事故」は人間が絡むような気がします。 私はこれに加えて、「普段の生活の中で」という解釈も必要だと思います。 |
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木曾御嶽山(3067m)の突然の噴火により50名以上の方が命を落とし、1週間経って、いまだに10名もしくはそれ以上の方の行方がわかっていません。 噴火のタイミングが悪すぎました。 登山客の多い紅葉時期でさらに、山頂付近に一番多くの人がいる時間帯・・・ 山は容赦ありません。 亡くなった方には謹んでご冥福をお祈りいたし、ケガをされた方は1日も早いご快復を、ご家族関係者の方々には謹んでお見舞い申し上げます。 行方不明の方のご家族・関係者の方々は日々、つらい時を送っているとは思いますが、それ以上に考えなければならないのは救助・捜索活動に当たる方々の二次的な被災は絶対にあってはならないということ。 そのためには、万全を期して、まずは撤退優先。最大限の安全確保に努めていただきたいと切に願っています。 99.99%安全と確認できる場合のみ活動して欲しいと思います。 |
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噴火はいまだに衰えず、先も見えません。 台風18号が間もなく来ます、そのあとには19号も迫っています。 土石流は満を持して、何のちゅうちょも無く、いつでも襲ってきます。 1991年、雲仙普賢岳でおきた大規模火砕流では43名の方が一瞬で亡くなりました。 報道関係者を立ち入り禁止区域に乗せていくために命を落としたタクシー運転手の方もいらっしゃいます。 その方たちの無念はいかほどのものか・・・。 今回は、なんとしてでも二次災害は食い止めなければなりません。 |
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さて、今回の噴火による登山事故を自分に置き換えれば、反省点「超山盛り」です。 ここ数年で、噴煙・蒸気等の噴出している山に登ったり、登頂しなくとも目の前で見える場所に行っています。 北から、十勝岳、吾妻山(一切経山)、那須岳(茶臼岳)、草津白根山、浅間山、焼岳・・・ 煙の出てる山だけでも6山、十勝以外は複数回、茶臼は二桁です。 煙出てないけど活火山!の回数を数えると、数十回に及ぶことが判明します。 |
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先に「普段の生活」と書きましたが、登山は「普段ではない」生活です。 すなわち「自己責任」です。 たいした山に登っているわけでもありませんが、私は長いこと登山の「救助費用」保険に入っています。 500万円の保険なので、 救助ヘリ2回までなら飛ばしても何とかOKかな? という金額です。 ビバーク(非常時野営)キット、7月のアイゼン・・・無駄に近いともとられそうな、でも「有り得るよな」と思える・考えられる対策をとって、対策できないところへは行かないと言ってきたし、実行してきたつもりですが、今回、あっけないほどに打ち砕かれました。 思わず、登山用ヘルメットの金額と重量を調べてしまいました。 噴火の危険があるなら、「危険情報が流れる」だろうというのも思い込みです。 今回は、情報が全く無い中で事故が起きています。 被害に遭われた方は寝耳に水だったでしょう。 紅葉の楽しい登山が一瞬にして地獄絵図になったわけで、状況は察するにあまりあります。 しかしながら、レジャーとしての登山であることは間違いなく、タイミングが悪かったがために多くの人命を奪うことになったということで、登山中、雷に打たれて1人死亡した事故との差は人数の違いだけだと考えています。 「たられば」は禁物ですが、噴火が2月の平日だったら、もしかしたら、一人の死傷者も出なかったかもしれません。本来、そうであってほしかった・・・ いずれにしても、 山=危険 ということをもう一度キモに命じたいと思います。 |
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木曾御嶽山は3000mを超える「高山」です。 とても高い山に登るのだから、当然それなりの危険はあるし、それに対する準備は無論、もっと大切なのは心構えかもしれません。 私が10代の頃は、麓から自分の足で登るというのが当たり前だったので、登山にはある程度高いハードルがありました。 言い過ぎかもしれませんが、私自身、覚悟をもって山に入っていた気がします。 今の時代、ロープウエイやゴンドラが整備され、例えば中央アルプスの千畳敷(標高2600m)のように、切符さえ買えばロープウエイで行けるようになると、どうしてもサンダルやパンプスで高山の散歩をしてしまいます。 たとえそれが、旅行会社の団体旅行の一環であるにせよ、山の危険そのものの理解を深める必要があるのでしょう。 簡単だからこそマナーや心構えなどが必要になってくるのではないでしょうか。 もちろん、多くの人が美しい景色を見られるロープウエイ等はとてもありがたい存在で、私もその恩恵に十二分にひたっています。 しかしながら、もう一度、気を引き締めなおさなければいけないと自分に言い聞かせています。 |
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再来週、裏磐梯に行きます。※ 磐梯山、五色沼、桧原湖、吾妻山塊・・・ 水と山の織り成すとても美しいところで、何度行っても飽きません。 この景色をもたらしたのは、明治21年、磐梯山の大噴火です。 1週間の噴火活動で長瀬川とその支流がせき止められ、土石流や火山泥流が下流域に被害を与え、磐梯山北麓の5村11集落が埋まり477人の死者を出しました。 この裏磐梯の美しさは、尊い犠牲の上に成り立っています。 普通に生活している人たちへの大きな自然災害でした。 しかし、後世に残すものもありました。 まさに、私たちはその美しい四季を享受しています。 再来週も、その美しさに感謝しつつ歩いてこようと思っています。 大自然のなすことには畏敬の念を抱かざるをえません。 それは災害のたびに思い知らされます。 今回の木曾御嶽山も登山者の尊い犠牲が、後の世に何らかの大きな軌跡を残すことになるのでしょう・・・ |
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※NHKニュース解説や特集でも「戦後最悪の被害」と言ってますが、上記1888年(明治21年)の小磐梯山には触れていません。それ以降も明治33年に安達太良山で72名、明治35年に伊豆鳥島で125名の全島民死亡、大正3年に桜島で59名、大正15年に十勝岳で144名の方が亡くなっています。 実は、話題性を高めるための軽い情報操作が含まれています。 明治以降とすると、磐梯は普通に生活していた人477人の犠牲者としなければならず、今回の御嶽山の犠牲者が少なすぎます。 過去100年というと、「十勝岳に次ぐ」になってしまいます。(桜島は約100年8ヶ月) すなわち、「戦後最悪」と言ったほうが、「磐梯山や十勝岳、鳥島、安達太良、桜島には及ばないけど・・・」というより悲劇の度合いが増すということです。 「最悪」という言葉を使ってわかりやすくするため、というのは「詭弁(きべん)」です。 だまし言葉ではなく、火山に対する注意を怠らないこと!という大義名分を優先すべきです。 話題性、興味・面白さを優先するのではなく、日本は世界に名だたる火山列島なのだ!と言うべきなのです。 記憶に新しい、1991年の雲仙普賢岳の火砕流で亡くなった43名を上回ったというのも衝撃的なニュースではありますが、それ以上にたくさんの犠牲者を出しているという表現がもっと必要なのです。 じゃあ、江戸時代やもっと前からの統計を出せよ!というご意見もあるかもしれませんが、ここは、最悪なのか、さらにひどい惨事もあったのかの比較表現をすることが目的なので100年間もしくは明治以降にしなさいという指摘です。 |
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参考資料(気象庁HPより抜粋) 日本の活火山のうち、危険な47山を参考までに。 火山噴火予知連絡会によって、今後100年程度の中長期的な噴火の可能性及び社会的影響を踏まえ、火山防災のために監視・観測体制の充実等の必要がある火山として選定された47火山とその選定理由
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