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CHa-Ki 的思考回路
2002年8月17日 : 色温度と夜空の星の核融合との関係
とんでもないタイトルですが・・・
色温度を考える場合、絶対温度が深くかかわってきます。
即ち、絶対零度(摂氏-273度)が色温度の基点になります。

色温度(ケルビン)=温度+273

さて、色温度の項では、見た目の色が赤〜青に変わると色温度も高くなると説明しています。
でも、どうしても白色蛍光灯の方が太陽の光より白く(即ち色温度が高い)見えます。
これに関しては、適切な説明がなされていません。
そこで、色温度と目で見える光の色を考えてみます。
 
おさらいです。
色温度の高い順に、大まかに言ってみれば、

青空光〜日中の曇天〜太陽光〜白色蛍光灯〜タングステン(スタジオ)〜ろうそくの火

というような順番です。

ここで問題なのは、太陽光は黄色く、蛍光灯は白い、即ち、蛍光灯の方がより白く見える(曇天のように)のだから色温度も高いのではということ。
しかし、実際に計測してみれば、太陽光の色温度(5000〜6000K)の方が白色蛍光灯(3700〜4700K)より高い。

この考えられる原因を2つ挙げてみます。
  1. 太陽は黄色く見えるが、実際には、太陽光と共に青空の光も受けるので、色温度が高くなる。
  2. 太陽のスペクトル(※1)を見ると様々な色を出しているが、人間の目に最も反応しやすい黄色に見えてるだけ。
さて、1に関しては、全天曇の場合などを考えてみると、なかなか説明をつけにくい。
では、2はどうだろうか?
 
太陽の光は実は青成分が強いのでしょうか?

太陽の表面温度はおよそ6000度、中心付近は1500万度(※2)。
水素が核融合(※3)を起し膨大なエネルギーを放出しているはずなのだが、残念ながら見えない。 太陽の周辺にいくに従い、温度が下がり、6000度程度まで下がったところが人間の見ている太陽になる。 そして、表面温度を前述の色温度の式に当てはめると、

6000度+273度=6273K

です。
この光が地球の大気を通ると青スペクトルが吸収されて、5600K前後になると考えて良いのかな。

また、夜空に輝く星も太陽とそう変わらない温度であるのに星は概ね白く輝いています。
星と違って太陽は、メチャ大きく明るい。
そのことが黄色く見えてしまう一因かも知れません。

この光の吸収に関しては、太陽が水平線近くになると、大気中を光が通ってくる道のりが長くなるので、青スペクトルがより多く吸収され赤くなります。
これが朝焼け・夕焼けという現象。
夜空の星はこのような低い高度になってしまうと光が大気に吸収されて見えなくなってしまいます。

ついでに、夜空の星も赤く見える星や青く見える星があります。
これもまさしく星の温度。
青い星ほど高温であるということです。
さらに、重い星ほど明るく青いということも言えます。

星はその身を削って光っているのですが、そのエネルギーは質量。
ところが、核融合という作業ですので、地球上で考える(物を燃やす)火とは少々違うようで、 1円玉1個分の質量を消滅させるときに出るエネルギー量は、100Wの電球を3万年も光らせ続けることができるそうです。
 
最近はどこでも蛍光灯。
そんな中、ストロボ(ほぼ太陽と同じ色温度)が届かない距離やストロボが光らなかった写真を見たことがあると思います。
こんなとき、写真はオレンジフィルターをつけたような変な色になるはずです。
そう、これが蛍光灯の色。

黄色く見える太陽が実は青く、白く見える蛍光灯は実は赤っぽい色だったんですね。
人間の目ってあやふやですね。
 
注釈 ※1 スペクトル:太陽の光をプリズムを通して見ると虹色になっている。この光の帯のことを言う。(アイザック・ニュートンにより発見)
※2 温度:1500万度というと途方も無い数字に見えるが、ビッグバンという理論では、その温度は1兆度にもなると言われている。
※3 核融合:水素の原子核が融合し、ヘリウムやニュートリノというような全く別の原子に変わること。燃焼では物質の結びつき方が変わるだけで構成要素は変化しない。

星の生成などは次の書物を参考にしました。
BLUE BACKS 子どもの疑問からはじまる宇宙の謎解き 三島勇・保坂直紀 講談社刊

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