道に迷うからこそ山登り
- 道に迷ったら必ず戻る
- 名の知れた山なら登山道や道標はしっかりしていて、迷いたくてもなかなか迷えません。
なのに、道迷いが未だ遭難原因のワースト3に入っているのを見るにつけ、山の怖さをつくづく思ってしまいます。
- 道に迷う状況というのは、だいたいパターンがあります。
道が突然消える、岩場などにぶつかって道が途絶える、枝道や踏み跡が交錯していてどっちに行ったらいいかわからない、自分の居場所が確認できない。
だいたいこんなところでしょう。
- いずれにしろ、いったんストップ。
少し休んで、正しい道とわかるところまで引き返さなければなりません。 なのに、登る途中で迷ったときは戻る気になっても、下る途中だと面倒くさくて強引に行ってしまいがちです。 これが遭難につながるのです。
- つらい気持ちはわかりますが、入山口さえ間違っていなければ、必ず正しい道に出ることができるはずです。
- 沢は下れないと思ったほうがいい
- 下りで道に迷って強引に行くと、まず間違いなく沢に入り込みます。
沢というのは見た目にどんなに緩やかでも、また穏やかな山容であっても、途中には必ず滝をかけていると思ったほうがいいのです。
- クライマーがロープを持っているのならいざ知らず、一般登山者が下れるはずがありません。
沢は絶対に下ってはいけないところなのです。
- こんなときはむしろ、どんなに疲れていても尾根など見晴らしの効く場所に登ったほうがいいのです。
まわりが眺められて、地形図を読めれば、現在の居場所はたいていわかるはずです。
- 動かないほうがいいときがある
- 道に迷ったら、わかるところまで引き返すというのが山登りの原則です。
- でも、動かないほうがいい場合もあるのです。
たとえば、体力を使い果たしているとき、ケガしているとき、夕暮れがせまっているときなどです。
- こんな状況では無理やり動き回るよりも、雨風をできるだけ防げる場所を探し、一夜をおくったほうがいいのです。
もっとも着のみ着のままで気象条件が厳しいと、生死をかけた闘いが始まることになるわけですが……。
- きちんと登山計画書を出していること、ザックの中に雨具や防寒具、非常食、ビニールシートなどを入れておくこと、パーティにひとつツエルトとコンロを用意しておくことの大切さが、こんなときになって初めてわかってくるのです。
- ビバークするなら暗くならないうちに決心
- もしビバークするのなら、暗くならないうちに決心しましょう。
暗くなってからでは、周囲の状況もよくわからず、不安がつのるいっぽうです。
- まず風が当たらず、乾いた場所を選びます。
ビニールシートを敷き、温かいものをたっぷり食べます。 コンロがなくてもできるだけお腹に入れましょう。
- ただし、長期戦が予測される場合は、あまり食べてしまわないように。
- 食べ終わったら、雨具も含めてあるものすべてを着こんで、新聞紙があれば雨具の下で体を包み、ザックに足を入れます。
- 手が冷たければ、予備の靴下を手にしたっていいのです。
- 山のビバークはザックの中身総動員です。
知恵と工夫であるものは何でも使います。
- あとはのんびり朝を待ちましょう。
貴重で楽しい夜の始まり始まり……。
- ビバークを安心・楽しくする装備いろいろ
- 万が一のビバークのことばかり考えていては、ザックはふくらむばかりです。
- でも山ヤとして、恥ずかしくない最低限の非常装備は用意しておきたいものです。
- ツエルト/日帰り軽登山にはまずいらないとは思いますが、何人かのパーティで荷物分担できるときは1つ持ちましょう。
テントにもなるし、冬山では、風や寒さがひどいときはこれをかぶって休みます。
- シュラフカバー/ほんの少しかさばりますが、ゴアテックス製のものなら顔さえうまく隠せば雨の中でも濡れずに寝ることができます。
- レスキューシート/アルミ製の薄いシートで、体を包めば保温効果抜群です。
丸めてポケットに入ります。
- ヘッドランプ/これはハイキングでも必携の装備です。
山の夜はほんとうに真っ暗なのです。予備電池も忘れずに。
- コンロ/日帰りでも長い行程、あるいはあまり人の入らない山では必携。
人は火を見ると元気が出ます。
- ビニールシートと新聞紙/シートは、敷いても、また屋根にも使えます。
新聞紙は体に巻くと暖かいし、燃やせます。
|