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CMとCMの間に何がある?                  2000年更新
通常、プログラムCM(番組の中で流れるスポンサーCM)の最小単位は15秒。
1分間のCM枠の中で4本のCMが流れることになります。

ここで、視聴者はそれぞれのCMを異なったCMとして認識しなければなりません。

当然、間に黒が入るなんて事は無く、映像はつながって流れます。
では、どうして次のCMに変わったことを理解するのでしょうか。
 



答えは「無音域」にあります。
実は、番組とCMの間、CMとCMとの間には1秒間の無音域を作ることが義務付けられています(スポンサーの圧力に負けて?実際には1秒間はないようですが・・・)。

私も始めの頃はマジメに15フレームの無音域を作っていました。
音が14秒しか使えないのは結構辛いものがあります。

しかし、これを守らないと何が何だかわからなくなり、収拾がつかなくなります。
CMなのか本編なのかさえ理解できなくなります。
 
さて、このように音のはたす役割は大変重要です。
番組の冒頭は当然のことながら15フレームの無音域を作るわけですが、この無音域がとても重要な役割をします。

映像が始まると同時に音を出すと、人間には音が先行したように聞こえます。

これは、雷様を考えていただければすぐご理解できると思います。ピカッ、ゴロゴロときますよね。

地球上では、光は秒速約30万キロメートルですが、音は秒速約340m(空気中です。海の中では5倍近い速度です)。
従って、音は必ず光よりも遅く到達します。

即ち、音が遅く出ることに対する許容範囲が広いことになります。音が先行することは決して許されません。
 
番組の冒頭で15フレームの無音域があると、視聴者は映像を見てから

「あっ、番組が始まったな」

と頭で理解するまでに多少の時間があるほうがスムースに入れます。
気持ちよく入れると言った方が正解かもしれません。
 
リズムに合わせてカット替えをするミュージックカットでは、この原理を利用して画を先行させます。

リズムぴったりで切り替えると音が先行して聞こえるので、3フレーム〜5フレーム前にカット点を置きます。
これで視聴者にはカット替えと同時にリズムが変わったように聞こえます。
 
(これでも音が先行して聞こえる場合があるので、通常は、カットしたい部分のリズムの拍子(開始点)を基準に決めるより、前のリズムの最後の拍子の直後にカットをします)
 
リップシンクにしても、気の利いた視聴者は2フレームの音先行まで違和感を覚えます。

従って、これも、1フレーム音を遅らせるくらいのほうが自然に聞こえます。
2フレーム遅らせてもほとんど問題ありません。
 
稀に、音先行させる場合があります。
効果的に次のシーンを予感させるためです。

カットを替える前に音を出す「音先行型」にする場合は、注意が必要です。

それは、音先行の時間。あえて音を先行させるわけですから、視聴者に理解してもらうために最低でも1秒以上は先行させないと、ミス編集のようになり、違和感(不快感)を与えます。

番組の流れにもよりますが、2秒前後の先行が気持ちイイようです。
 
安易に考えられがちな音ですが、実は、「しょぼい画とバリバリの音」の方が「バリバリの画としょぼい音」より良い番組に見えてしまうのも事実です。
チョット気を使うと音もより良く聞こえるはずです。
 

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